これを受けて、韓国の国会が非常戒厳を解除するよう要求する決議案を可決すると、ユン大統領は4日朝早く再び会見して、閣議を通じて非常戒厳を解除すると発表し、韓国メディアは、閣議が開かれて非常戒厳は解除されたと伝えました。
韓国のユン・ソンニョル大統領は3日午後10時半ごろ、緊急の談話を発表し、来年の予算案に合意しない野党側の対応などを理由に「国政はまひ状態にある。憲政の秩序を守るために非常戒厳を宣布する」と明らかにしました。
これを受けて戒厳司令部が、国会や地方議会での一切の政治活動を禁じることや、すべてのメディアが戒厳司令部の統制を受けるなどとする「布告令」を発表しました。
韓国で非常戒厳が出されたのは1987年に民主化が宣言されて以降、初めてとなります。
また、韓国国防省は軍の態勢を強化し、戒厳司令部の部隊が国会の建物に突入する事態となりました。
ユン大統領の発表を受け、韓国の国会は4日未明に本会議を開き、非常戒厳を解除するよう要求する決議案を、出席議員190人の全会一致で可決し、国会議長が「戒厳の宣布が無効になった」と述べました。
このあとユン大統領は4日午前4時半ごろ、再び談話を発表し、軍を撤収させたとした上で、「ただちに、閣議を通じて国会の要求を受け入れ、戒厳を解除する」と述べました。
韓国の通信社、連合ニュースは4日午前5時ごろ、閣議が開かれて非常戒厳は解除されたと伝えました。
ただ、韓国国内はユン大統領の突然の発表に混乱が続いていて、事態が沈静化するかどうかは不透明です。
最大野党 ユン大統領に直ちに自ら辞任するよう求める
ユン大統領の非常戒厳の宣布について、最大野党「共に民主党」は4日午前、決議文を発表し「ユン大統領の非常戒厳宣言は明白な憲法違反だ。これは内乱行為であり、完全に弾劾事由だ」と非難した上で、ユン大統領に対し直ちに自ら辞任するよう求めました。
そして、退陣しない場合には「共に民主党」は直ちにユン大統領の弾劾手続きに入るとしています。
【動画】解説 今後はどうなる
※動画は4分32秒。データ放送ではご覧になれません。
韓国に向かう人から不安の声 旅行取りやめる人も
羽田空港の国際線の出発ロビーでは、韓国に向かう人から不安の声も聞かれました。
出張でソウルに行くという会社員の男性は「まさか非常戒厳が出るとは思いもしなかったので正直びっくりしました。現地の状況に心配もありますが何も無いことを願って行ってこようと思います」と話していました。
母と娘とともに3人で旅行に行くという女性は「空港まで来る途中にニュースで見ました。不安もありますが、状況をよく調べておこうと思います」と話していました。
一方、同じく韓国を旅行する予定だった親子は、空港まで来たものの「ニュースなどを見て不安になり、直前まで悩みましたが結局、旅行を取りやめることにしました」と話していました。