現地では中村さんと共に働いたNGOの日本人スタッフらも見守るなか、建設中の新たな用水路の通水式が行われました。
福岡市のNGO「ペシャワール会」の現地代表を務めた医師の中村哲さん(当時73)は5年前の2019年12月4日、東部ナンガルハル州で何者かに銃撃され死亡しました。
事件の捜査は、イスラム主義勢力タリバンが実権を握ってからも進展は見られず、真相解明の見通しは立っていません。
中村さんの死後も、その遺志を継いだ人々によるかんがい施設の整備は続いていて、ナンガルハル州のナージアン地区ではことし4月から新たな用水路の建設が進められています。
3日は日本から訪れたペシャワール会の日本人スタッフらも見守る中、用水路に水を流す通水式が行われました。
現地には水を確保するためのため池も建設され、およそ400ヘクタールの土地に住む人たちの生活の向上が期待されています。
現地の工事を監督する技師のディダール・ムシュタクさんは「用水路に水が流れるのを見るのはこの上ない喜びです。こうした事業を今後も続けていきます」と話していました。
ペシャワール会の村上優会長は「中村先生が敷いた道を歩いてきたという気がします。われわれはどういう事態、政治的状況になろうとも、この干ばつの中で人々が生き抜いていけるように水の事業を続けていかなければならない」と話していました。